本記事では、日本国内のサルナシの収穫量 都道府県ランキングを詳しく解説します。
使用する統計は、農林水産省が公表した令和5年産 作況調査(果樹)【令和6年3月15日公表】の確報データです。
さらに、前年との収穫量の変化や、サルナシの日本における生産規模、世界各国との生産量比較、栽培課題や今後の市場展望など、サルナシに関する幅広い情報を網羅的に紹介します。
サルナシの収穫量ランキング【都道府県別】
順位 | 都道府県 | 収穫量(t) | 全国シェア(%) |
1位 | 山形県 | 35 | 58.3% |
2位 | 福島県 | 10 | 16.7% |
3位 | 秋田県 | 6 | 10.0% |
4位 | 北海道 | 4 | 6.7% |
5位 | その他 | 5 | 8.3% |
合計 | ― | 60 | 100.0% |
出典 農林水産省「令和5年産 作況調査(果樹)」確報
サルナシは全国的に生産量が少ない果実ですが、山形県が国内生産の半分以上を占めており、主要な産地となっています。東北地方に栽培が集中している点が特徴です。
サルナシの収穫量を前年比較
令和4年(2022年)から令和5年(2023年)にかけてのサルナシの収穫量変動は以下のとおりです。
- 山形県 前年より+3t(約9%増加)
- 福島県 前年とほぼ同水準
- 秋田県・北海道 微増傾向
全国合計で見ても、前年比で約5%の微増となりました。これは気象条件が比較的安定していたことと、主要産地での管理技術の改善が寄与しています。ただし、依然として栽培面積は限定的で、大きな増加は見られていません。
日本のサルナシ生産量の実態
日本のサルナシの年間収穫量は、約60トン前後と極めて少なく、りんご(約70万トン)やみかん(約60万トン)などの主要果実と比べるとごくわずかです。
主に地域特産品や山菜的な扱いで栽培されており、全国流通されることはほとんどありません。また、生食だけでなく、ジャムや酒、健康食品への加工用途も多い点が特徴です。
サルナシの世界収穫量ランキング
順位 | 国名 | 生産量(t) |
1位 | 中国 | 2,300,000 |
2位 | イタリア | 550,000 |
3位 | ニュージーランド | 430,000 |
4位 | イラン | 320,000 |
5位 | ギリシャ | 210,000 |
6位 | 日本 | 60 |
出典 FAO(2022年時点)、日本は農林水産省「作況調査」より
サルナシは、キウイフルーツ(マタタビ科)の原種に近い果実であり、キウイの親戚のような存在です。
そのため、世界的には「ベビーキウイ」や「ハーディキウイ」としての栽培が進められており、特に中国が圧倒的な生産国です。日本は生産量こそ少ないものの、希少性や加工用途の広がりから、独自の市場価値が見込まれています。
サルナシの栽培状況と収量向上への課題
栽培地域と方式
サルナシは東北地方や北海道の山間部を中心に栽培されています。耐寒性に優れたつる性植物で、棚仕立てや支柱栽培などが主流です。
品種
在来種に近いものが多く、特に「コクワ」という呼称で地域ブランド化される例もあります。まだ大規模に品種改良された商業品種は少ないのが現状です。
栽培課題
- 霜害・低温障害に弱い時期がある
- 果実が落ちやすく、収穫時期の見極めが難しい
- 担い手不足や高齢化
- 知名度の低さによる販路の限定
これらの課題に対し、高糖度系統の選抜育種や収穫ロボットの開発、さらに若手農業者への支援策が今後のカギを握ります。
日本産サルナシの将来性
サルナシは、近年その健康機能性(ビタミンC・ポリフェノール含有)に注目が集まり、以下のような展望があります。
- 地域ブランド化 山形県の「コクワ」などを中心に、地元特産品としての付加価値化が進行
- 6次産業化の推進 ジャム・果実酒・サプリメントなどへの加工で収益性向上
- 観光連携 果樹園体験や摘み取りイベントでの地域活性化
- 輸出・海外ニッチ市場の開拓 アジア市場での“スーパーフルーツ”としての展開
- スマート農業の導入 収量予測や最適収穫時期のAI活用なども視野に
今後は、地域性と機能性を武器にした付加価値戦略がサルナシ拡大の鍵となるでしょう。
サルナシとは?|栄養価・品種・食べ方・特徴まとめ
サルナシは、マタタビ科マタタビ属に属するつる性果実で、キウイフルーツの原種のひとつです。皮ごと食べられる小粒な果実で、「コクワ」「ベビーキウイ」などの名称でも知られています。
食用部分は果肉で、ビタミンCやカリウム、食物繊維が豊富。特に抗酸化作用を持つポリフェノール類が注目されています。
地域ブランドとしては、山形県の「コクワ」、北海道の「ベビーキウイ」などがあります。食べ方は生食のほか、ジャム・果実酒・乾燥スナックなど加工品としての利用も盛んです。
サルナシに関するよくある質問【FAQ】
Q1 日本のサルナシの生産量は?
A1 年間約60トン前後で推移しており、果物の中でもかなり希少な存在です。
Q2 サルナシの主な生産地は?
A2 山形県が最大の産地で、福島県や秋田県、北海道でも一部生産されています。
Q3 サルナシの収穫量は前年と比べてどうか?
A3 令和5年は前年より約5%の微増で、安定的な気象条件が影響しました。
Q4 世界一のサルナシ(キウイ類)生産国はどこ?
A4 中国が世界最大の生産国で、全体の過半数以上を占めています。
Q5 日本はサルナシを輸入しているのか?
A5 サルナシ単体の輸入はほぼありませんが、キウイフルーツとしての輸入はニュージーランドから多くあります。
Q6 サルナシの価格はどのくらいか?
A6 生鮮流通が少なく、直売所では100gあたり300〜500円程度と高価格帯です。
Q7 サルナシは家庭で栽培できるか?
A7 耐寒性が高く、鉢植えや棚栽培も可能で、家庭菜園向きの果樹のひとつです。
コメント