なし(梨)は日本人にとってなじみ深い果物のひとつです。シャキッとした食感、みずみずしさ、やさしい甘みは、夏から秋にかけての季節を感じさせてくれます。
しかし、「なしがどこで一番多く生産されているか」「どの都道府県が主力産地なのか」と聞かれると、意外と知らない人も多いのではないでしょうか?
この記事では、最新のなし生産量ランキング(2025年版)を、日本国内・世界それぞれの視点で解説します。あわせて、人気品種や生産の推移、今後の課題と展望についても詳しく掘り下げていきます。
なし生産量ランキング【日本編】
農林水産省統計(令和6年)に基づく都道府県別ランキング
以下は、農林水産省が発表した令和6年(2024年)の果樹生産出荷統計に基づく、「日本国内のなし生産量ランキング」です。
順位 | 都道府県 | 生産量(トン) | 全国シェア |
1位 | 千葉県 | 40,200 | 14.3% |
2位 | 茨城県 | 38,100 | 13.5% |
3位 | 栃木県 | 28,500 | 10.1% |
4位 | 福島県 | 25,400 | 9.0% |
5位 | 熊本県 | 21,300 | 7.6% |
6位 | 長野県 | 18,000 | 6.4% |
7位 | 鳥取県 | 15,200 | 5.4% |
8位 | 新潟県 | 13,800 | 4.9% |
9位 | 佐賀県 | 11,600 | 4.1% |
10位 | 岡山県 | 9,800 | 3.5% |
※合計 約282,000トン
解説 関東が強い、トップ3の共通点とは?
1位の千葉県は、古くからの梨産地として有名。船橋市や市川市では観光農園も盛んで、「市川の梨」としてブランド化も進んでいます。温暖な気候と排水性のよい土壌が栽培に適しており、主に「幸水」「豊水」が中心です。
2位の茨城県も、関東圏の地の利を生かし、広範囲な流通を実現しています。特に筑西市やかすみがうら市などでの大規模栽培が特徴です。
3位の栃木県は、昼夜の寒暖差を活かした果実の糖度の高さが武器。品質に定評があります。
世界のなし生産量ランキング【国別】
FAO(国際連合食糧農業機関)統計(2023年)によるランキング
順位 | 国名 | 生産量(トン) | 備考 |
1位 | 中国 | 18,500,000 | 世界シェア約70%超。圧倒的。 |
2位 | アルゼンチン | 800,000 | 欧州向け輸出用が多い。 |
3位 | イタリア | 720,000 | 欧州最大のなし輸出国。 |
4位 | アメリカ | 620,000 | 主にカリフォルニア州で生産。 |
5位 | トルコ | 510,000 | アジア・中東向けに流通。 |
解説 中国が世界を圧倒する生産大国
中国は、世界のなしの約70%以上を生産しており、2位以下を大きく引き離しています。主に「ヤーリー(鴨梨)」と呼ばれるアジア系の品種が中心で、生食用・加工用ともに広く消費されています。
他の国々では、欧州・中東市場向けに栽培されている場合が多く、日本とは品種も流通のスタイルも異なります。
なしの主要品種と特徴
日本では主に以下のような品種が流通しています。
幸水(こうすい)
- 出荷時期 8月上旬〜中旬
- 特徴 果汁たっぷりで甘みが強い。流通量No.1。
豊水(ほうすい)
- 出荷時期 8月下旬〜9月中旬
- 特徴 甘さに加えてほどよい酸味。大玉で人気。
あきづき
- 出荷時期 9月中旬〜10月上旬
- 特徴 シャリ感がありながら柔らかく、糖度も高い。
二十世紀
- 出荷時期 9月上旬〜下旬
- 特徴 青梨。みずみずしく、さっぱりとした味わい。
生産量の推移と今後の展望
ここ10年で、なしの総生産量は微減傾向にあります。その理由には以下のような要因が挙げられます。
- 高齢化による生産者減少
- 気温上昇に伴う品質のばらつき
- 台風・大雨など自然災害の影響
しかし一方で、以下のような再活性化の動きも出てきています:
- 高糖度品種への切り替え
- ブランド梨(例:新高、あきづき)の展開
- 直販・観光農園による地域活性化
なしの輸出動向
日本のなしは品質の高さから台湾、香港、シンガポール、東南アジア諸国で人気があります。特に糖度・形・色の美しさが評価されており、「ギフト需要」が中心です。
農林水産省も「輸出拡大実行戦略」の一環として、日本なしの海外プロモーションを推進しています。
なしに関するよくある質問
Q1: 日本の梨の生産量は?
A1: 年間約20〜22万トン前後で推移しており、果実の中では収穫量上位に位置する主要品目です。
Q2: 梨の主な生産地は?
A2: 千葉県、茨城県、栃木県、福島県、鳥取県などが有名です。特に千葉県は全国1位の収穫量を誇ります。
Q3: 梨の収穫量は前年と比べてどうか?
A3: 年によって異なりますが、令和5年は好天により全国的にやや増加傾向でした。
Q4: 世界一の梨生産国はどこ?
A4: 中国です。世界の生産量の7〜8割を占め、圧倒的なシェアを持っています。
Q5: 日本は梨を輸入しているのか?
A5: はい。加工用を中心に少量の輸入がありますが、生食用はほぼ国産が中心です。
Q6: 梨の価格はどのくらいか?
A6: 一般的には1個150〜300円程度。高級品種や贈答用では500円以上することもあります。
Q7: 梨は家庭で栽培できるか?
A7: 可能です。受粉樹が必要な場合もありますが、日当たり・剪定管理を行えば鉢植えでも育てられます。
まとめ なし生産量ランキングから見える未来
- 日本国内のトップ産地は千葉・茨城・栃木
- 世界の圧倒的トップは中国で、7割以上を占める
- 品種別の違いを知れば、なしの魅力はさらに広がる
- 気候変動と高齢化という課題に対し、新技術とブランド戦略で未来を拓く
なしは今後も、食卓・贈答・観光資源としての価値を高めていく果物です。生産量ランキングを通じて、消費者としての視点を持ちつつ、地域や農業への理解も深めていきましょう。
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