本記事では、日本国内の栗の収穫量 都道府県ランキングを詳しく解説します。データは農林水産省「令和5年産 作況調査(果樹)」(2024年5月公表)の確報値に基づいています。
あわせて、前年との比較、世界の主要生産国ランキング、国内における生産の位置づけ、栽培課題や今後の展望についても包括的に解説します。
栗の収穫量ランキング【都道府県別】
順位 | 都道府県 | 収穫量(t) | 全国シェア(%) |
---|---|---|---|
1 | 熊本県 | 3,270 | 18.5 |
2 | 茨城県 | 2,700 | 15.3 |
3 | 愛媛県 | 1,420 | 8.0 |
4 | 岐阜県 | 1,160 | 6.6 |
5 | 宮崎県 | 1,110 | 6.3 |
6 | 京都府 | 1,000 | 5.7 |
7 | 栃木県 | 855 | 4.8 |
8 | 長野県 | 720 | 4.1 |
9 | 高知県 | 680 | 3.8 |
10 | 佐賀県 | 610 | 3.5 |
出典:農林水産省「令和5年産 作況調査(果樹)」
栗の収穫量では熊本県が全国1位を維持しており、全体の約2割を占めます。茨城県や愛媛県も上位に位置し、九州・関東・四国を中心に広く分布しています。京都府や岐阜県など、伝統的な和栗文化の根付く地域も高い生産量を誇ります。
栗の収穫量を前年比較
令和5年産の栗収穫量は、全国合計で約17,700トンと、前年(約18,400トン)と比べて約4%の減少となりました。
主な変化は以下のとおりです:
- 熊本県:前年比約▲6%(3,480t → 3,270t)
- 茨城県:ほぼ横ばい
- 愛媛県:やや減少(1,500t → 1,420t)
2023年は一部地域で開花期の低温や長雨が影響し、結実不良や落果が発生。特に西日本で減収傾向が見られました。
日本の栗生産量の実態
栗は日本の果実生産の中では中規模クラスに位置します。令和5年の収穫量(17,700トン)は以下のような他果実と比較されます:
- りんご:約773,600トン
- みかん:約662,600トン
- ぶどう:約158,300トン
- 栗:約17,700トン
栽培は全国で行われていますが、特に熊本・茨城・愛媛・京都などでは地域の特産品としての地位を築いており、和菓子用・贈答用・加工品(甘露煮やモンブラン)向けとしても需要があります。
栗の世界収穫量ランキング
順位 | 国名 | 生産量(t) |
---|---|---|
1 | 中国 | 1,860,000 |
2 | ボリビア | 98,000 |
3 | トルコ | 82,000 |
4 | 韓国 | 71,000 |
5 | イタリア | 55,000 |
6 | 日本 | 17,700 |
出典:FAO(2022年時点)
世界最大の栗生産国は中国で、圧倒的な規模(約186万トン)を誇ります。日本は生産量では小規模ですが、品質重視・ブランド化・手むき加工など付加価値の高い市場を築いています。
栗の栽培状況と収量向上への課題
栗は全国的に栽培されていますが、特に中山間地・温暖地での露地栽培が主流です。
主な品種
- 筑波(茨城)
- 銀寄(ぎんよせ)(京都)
- 丹沢(関東)
- 利平(高糖度)
- 岸根栗(熊本)
栽培課題と対策
- 病虫害(クリタマバチ・黒星病):防除や耐病性品種の導入が課題
- 高齢化・担い手不足:収穫・加工に手間がかかるため、若手就農者の確保が急務
- 気候変動:開花期の遅霜や高温障害への対応が求められています
ICTやドローンによる病害管理、選果の自動化などスマート農業技術の活用も始まっています。
日本産栗の将来性
今後の栗産業では、以下の展望が注目されています:
- 地域ブランド化の推進:「京丹波栗」「利平栗」「熊本栗」など、地域ブランドとしての育成が進展
- 6次産業化と観光連携:栗拾い観光や栗スイーツフェアなど体験型農業との融合
- 輸出と加工品展開:中国・台湾・香港への甘露煮輸出や、モンブラン・栗きんとんなど高級スイーツ需要に対応
- スマート農業導入:自動選果・熟度判別・病害検知AIなど、省力化による産地維持に期待
高齢化による産地縮小が懸念される中で、若手育成と技術革新の両輪で将来性を高めることが求められます。
栗とは?|栄養価・品種・食べ方・特徴まとめ
栗はブナ科クリ属の落葉樹で、食用となるのは種子の胚乳部分です。主成分は炭水化物ですが、ビタミンC・カリウム・食物繊維も豊富に含まれています。
主な品種には「筑波」「銀寄」「利平」などがあり、「京丹波栗」「熊本栗」など地域ブランド化された高級品も流通しています。
食べ方は焼き栗・ゆで栗・栗ご飯・甘露煮・和洋菓子など多岐にわたり、特に秋の味覚として親しまれています。
栗に関するよくある質問【FAQ】
Q1: 日本の栗の生産量は?
A1: 年間約17,700トンで、果実の中では中規模の生産量です。
Q2: 栗の主な生産地は?
A2: 熊本県、茨城県、愛媛県、岐阜県、京都府などが主要産地です。
Q3: 栗の収穫量は前年と比べてどうか?
A3: 令和5年産は前年より約4%減少しました。
Q4: 世界一の栗生産国はどこ?
A4: 中国で、世界生産量の約8割以上を占めています。
Q5: 日本は栗を輸入しているのか?
A5: はい。中国などから加工用栗を輸入しています。
Q6: 栗の価格はどのくらいか?
A6: 品種や等級により異なりますが、1kgあたり600円〜1,500円前後が一般的です。
Q7: 栗は家庭で栽培できるか?
A7: 庭木や家庭菜園でも栽培可能ですが、スペースと剪定管理が必要です。
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